2023年9月16日土曜日

サントリー美術館「虫めづる日本の人々」3

 渡辺京二先生は名著『逝きし世の面影』に「生類とコスモス」の一章をもうけ、1859年来日、函館領事をつとめたクリストファー・ホジソンの夫人エヴァの体験から書き出しています。

ホジソン夫人は長崎で領事館にあてられた寺に落ち着いたが、朝起きてベッドから足をおろすと、足もと数インチのところに蛇がいた。彼女は悲鳴をあげ、召使を呼んで始末させたが、彼はその蛇をどうしても殺そうとはしなかった。またある日、蛇は客間に侵入して、とぐろを巻いた。先日の蛇とは別な奴だったが、そいつは「おれはもう一度やって来るぞ」といわんばかりに、彼女をにらみつけて立ち去った。そして「約束どおり」二、三日後の夜、エヴァの枕もとを滑って通りすぎた。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

皇居三の丸尚蔵館「近世の御所を飾った品々」6

 友松は晩年、桂宮家を創始した智仁 ともひと 親王のもとにしばしば出入りし、押絵の注文などを受けていたことが、記録から明らかになっているからです。畏友・河合正朝さんの『友松・等顔』<日本美術絵画全集 11 >(集英社  1978 年)によると、桂宮淑子 すみこ 関係の記録にある「...