2022年11月19日土曜日

繭山龍泉堂「唐三彩」21

 

その小山先生が昭和21年(19462月にお書きになって、翌年座右宝刊行会から出版されたのが『正倉院三彩』です。岡戸さんはこれをある古本屋さんで見つけ、「美術史学徒として美しいものと生きていく力と喜びと希望を伝える」と深く心を動かされ、講義の資料としたのでした。

脱稿は昭和212月――あのカタストロフとその後の騒擾を考えれば、にわかには信じられないことではないでしょうか。ほとんど奇跡のように感じられます。小山先生は焼け残った『正倉院御物図録』を何気なく開いて、正倉院三彩の美しさに今さらのようにうたれたのです。そしてこの珠玉のごとき一書をものされたのです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』3

  前回、東京国立博物館の特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」を紹介しましたが、実をいうと後期高齢者の僕には「コンテンツ」の意味がよく飲み込めませんでした。しかしこの辞典にはチャンと「コンテンツ」という項目があって、簡にして要を得た説明がなされています。しかも「マーシ...