「僕の一点」は、あまりにも有名な晶子の第一歌集『みだれ髪』の初版本です。晶子は明治11年(1878)、堺県堺区――現在の大阪府堺市で菓子商「駿河屋」を営む鳳宗七夫妻の子に生まれました。この「与謝野寛・晶子と富士山、静岡の文学」展を予見したような屋号じゃ~ありませんか(笑)
生地にある堺市博物館では、晶子関係の資料をたくさんコレクションしています。『みだれ髪』初版本はそのうちの1点、藤島武二による装丁美術の傑作ですから、図版ではお馴染みですが、オリジナルを見たのは初めてのような気がします。
その山水はいわゆる辺角の景という構図になっています。画面の左上から右下に対角線を一本引いて、その左下に近景を描き、右上の余白に遠景を添えて遠近感を視覚化させています。 このような辺角の景は、中国・南宋時代の画院画家である馬遠や夏珪が好んで用いた構図法でした。ですから馬の...
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