2022年7月2日土曜日

宝塚「めぐり会いは再び」6

 

第二に、ストーリーがきわめて荒唐無稽なんです。もちろんこれは宝塚歌劇や歌舞伎を貶めているわけではありません。それどころか、この荒唐無稽にこそ日本的価値があるんだと思います。日本の近代演劇はこの荒唐無稽的性格を打破しようと試みましたが、いまの歌舞伎人気をみるにつけても、結局うまくいかなかったのではないでしょうか。

歌劇つまりオペラの最高傑作である「白鳥の湖」もあり得ない話ですが、荒唐無稽とはいえないでしょう。ミュージカル「マイフェアレディ」や「ウエストサイドストーリー」にも、あるリアリティがあって、荒唐無稽とはほとんど無縁です。もっとも宝塚版「ウエストサイドストーリー」もあるようですが……。宝塚歌劇と歌舞伎にみる豪華絢爛たる衣裳の美しさも、この荒唐無稽性と関係するのかもしれません。

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』3

  前回、東京国立博物館の特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」を紹介しましたが、実をいうと後期高齢者の僕には「コンテンツ」の意味がよく飲み込めませんでした。しかしこの辞典にはチャンと「コンテンツ」という項目があって、簡にして要を得た説明がなされています。しかも「マーシ...