かつて桓伊かんいが椅子に掛け 笛吹くシーンを描いたが
その笛の音に誘われて ヒラヒラと散る梅の花
頭巾ずらしてその調べ じっと聴き入る王子猷おうしゆう
かの戴安道たいあんどうを訪ねしは 人品 高きこの人だ
漁師と木こりが仕事する 風景の絵も描いたが
幽玄 瀟洒な趣が 俗世をはるかに超越す
鮮魚を鱠なますにする子ども 振るう包丁キラキラと……
老いた木こりが斧を研ぐ 砥石の肌はツヤツヤと……
はじめて知った 筆先が 自然の妙を奪うこと
はじめて知った 絵のなかに 霊なる神気 宿ること
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