2022年4月15日金曜日

佐藤康宏『若冲の世紀』8

 かつて桓伊かんいが椅子に掛け 笛吹くシーンを描いたが

 その笛の音に誘われて ヒラヒラと散る梅の花

 頭巾ずらしてその調べ じっと聴き入る王子猷おうしゆう

 かの戴安道たいあんどうを訪ねしは 人品 高きこの人だ

 漁師と木こりが仕事する 風景の絵も描いたが

 幽玄 瀟洒な趣が 俗世をはるかに超越す

 鮮魚を鱠なますにする子ども 振るう包丁キラキラと……

 老いた木こりが斧を研ぐ 砥石の肌はツヤツヤと……

 はじめて知った 筆先が 自然の妙を奪うこと

 はじめて知った 絵のなかに 霊なる神気 宿ること

 

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根津美術館「唐絵」6

また島田先生は、「題辞、題詩が単に画図をみた印象、感想を述べるだけでなく、画図の主題と密接な関連があって、 画図の十分な理解のためにはその詩文の解釈が欠かせないとか、題跋の加わることが予期されるというような条件をおくことが必要であろう」と指摘しています。 さらに島田先生は、詩画軸...