2021年12月6日月曜日

追悼 武田光一さん4

 



武田さんから解説を受けたあと、雪に埋もれた越後湯沢の旅籠屋[はたごや]で、白瀧酒造の絶品「湊屋藤助」を酌み交わしたことも、昨日のことのようによみがえってきますが、その後、年賀状の交換だけになっていたことが、今となっては心底悔やまれます。

京都からふるさと越後へ帰る画家・五十嵐浚明のため、ハナムケの一図を描くことになった22歳の池大雅は、盛唐・王維が詠んだ送別詩の傑作七言絶句「元二の安西に使いするを送る」をライトモチーフにすることを思いつき、それに勝るとも劣らなぬ視覚的傑作を生みだしたのでした。中国語の暗唱に続けてマイ戯訳を、天上の武田さんに捧げたいと思います。

  渭城そぼ降る朝の雨 濡れて立たない土ぼこり

旅籠屋あたりも清く澄み 柳の緑は生き返る

「遠慮しないでもう一杯 さぁ武田君やってくれ!!

陽関 越えて西ゆけば 飲み友達もいないから」


0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』3

  前回、東京国立博物館の特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」を紹介しましたが、実をいうと後期高齢者の僕には「コンテンツ」の意味がよく飲み込めませんでした。しかしこの辞典にはチャンと「コンテンツ」という項目があって、簡にして要を得た説明がなされています。しかも「マーシ...