しかし、あえて宗理の美的特質を挙げるならば、かつて安田剛蔵先生が著書『画狂 北斎』(有光書房 1971年)で指摘した「白痴美」ということになるでしょう。『広辞苑』に「整ってはいるが、表情に乏しい女の、一種の美しさ」とあるその「白痴美」です。先生は次のように述べています。
女の顔の描写は一見北斎宗理を想わせるが、熟視すると同一でない。北斎宗理描く女の顔はいつでも新鮮澄明で、すがすがしく、姿態は変化に富み健康的かつ活動的であるのに対し、この宗理描く一連の女の姿態は一定化していて、且つ何となく病的である。……この宗理の描く美人の表情は白痴美と評すべきであろう。
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