2021年7月8日木曜日

三菱一号館美術館「三菱の至宝展」9

 


実は先の第4回内国勧業博覧会に、若き21歳の玉堂も「鵜飼」という作品を出品して賞牌授賞の栄に輝いたのですが、雅邦の「龍虎図屏風」を見て、驚天動地ともいうべきショックを受けたのです。後年、玉堂はある座談会で次のように語っています。

所が例の十六羅漢の緻密なのと龍虎の豪放なものを博覧会で見せ付けられた時には、全く打たれてしまったのです。……妙に皮肉な、批評的なことを云う人もあり、色々でしたが、何と云っても皆が大きな衝動を受けたことは事実です。私などはもう打たれてしまったのです。是は飛んでもない偉い人が現在東京に生きて居ると思った。こんな人にぶつかって行って、もう一遍叩き直さなければいかんと思ったのが私の決心ですね。練り直すより外ないと云う気持ちになったのです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』3

  前回、東京国立博物館の特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」を紹介しましたが、実をいうと後期高齢者の僕には「コンテンツ」の意味がよく飲み込めませんでした。しかしこの辞典にはチャンと「コンテンツ」という項目があって、簡にして要を得た説明がなされています。しかも「マーシ...