2020年7月13日月曜日

七夕7



また巻10「秋の雑歌」の「七夕」には、じつに98首が収められていますが、『人麿歌集』から採られた第1首「天の川水底さへに照らす舟泊[]てし舟人妹に見えきや」をはじめ、織姫の方から会いに行ったと解釈できそうな歌は一首もないのです。
だからこそ、先に山上憶良の一首を引いたように、「妻迎舟[つまむかえぶね]]という歌言葉が生まれたのでしょう。佐佐木幸綱監修『和歌・短歌歳時記』には、「妻迎舟 陰暦七月七日の七夕の夜、天帝に許された年に一度の逢瀬のため、彦星が乗って織姫を迎えにいくため漕ぎ出す舟のこと」と説明されています。
そして5首ほどが選ばれています。藤原実定の「彦星の妻迎へ舟心せよ八十瀬の波は越ゑむせぶなり」のように、彦星から「余計なお世話だ!!」と言われそうな、おもしろい1首もあります。

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根津美術館「唐絵」8

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