2020年4月5日日曜日

杜牧「清明」2



しかし『広辞苑』には、「清明祭[せいめいさい]」という行事が立項されていて、「沖縄地方で、旧暦三月の清明節に一族そろって祖先の墓参りをする行事。士族の間で中国伝来の行事として始まったとされる。御清明<ウシーミー>」と説明されています。それは沖縄と中国との文化的結びつきを物語っているようにも感じられます。

美術史的には、清明節でにぎわう北宋の首都・汴京[べんきょう]――いまの開封の風俗を描いた張択端の「清明上河図巻」がよく知られていますね。

それからもう一つ、思い出されるのは晩唐の詩人・杜牧の名吟「清明」でしょう。連夜妓楼に流連したという、イケメンの風流才子・杜牧の面目躍如たるものがある一首ですが、「江南春絶句」や「秦淮に泊す」や「山行」など、分かりやすくて浪漫性に富むところ、とくに日本人好みの感じがします。

0 件のコメント:

コメントを投稿

静嘉堂文庫美術館「静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」3

  江戸時代中期に活躍した肉筆浮世絵師・宮川長春の筆になる絶品です。長春は尾張宮川村に生まれ、これを姓にしたと伝えられています。いつのころか長春は江戸に出て、菱川派や懐月堂派、さらに伝統的な土佐派をも学んで、もっぱら肉筆に創造の場を特化しました。やがて豊麗なる肉筆美人画様式をもっ...