2020年4月18日土曜日

静嘉堂文庫美術館「聴松軒図」2


そのころ僕は大学院に籍を置いていましたが、ノンポリだったのでほとんど大学には行きませんでしたし、8月といえば夏休みですから、自由時間がたっぷりあったのでしょう。ともかくも52年前の話ですから、もう記憶も定かじゃ~ありません。

まだ梅棹忠夫先生の名著『知的生産の技術』を知らず、月光荘の小さなスケッチブックを使っていたころなので、後からそれをB6の京大カードに貼り付けてあるのも懐かしく感じられます。僕は25歳になったばかり、いま読むと顔から火が出そうな生意気きわまる言辞が書き連ねられています。そう言いつつ、やはり紹介せずにはいられません()

松の木霊。その間には意外と空間はない。左の渓流も奥行きというより、形態に対する興味が強く感じられる。室町水墨も小画面に大宇宙という時代は極初期に終りを告げたのではないか。もしくは近世への萌芽は意外に早く現われていたのか。 

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根津美術館「唐絵」8

   その山水はいわゆる辺角の景という構図になっています。画面の左上から右下に対角線を一本引いて、その左下に近景を描き、右上の余白に遠景を添えて遠近感を視覚化させています。 このような辺角の景は、中国・南宋時代の画院画家である馬遠や夏珪が好んで用いた構図法でした。ですから馬の...