2019年10月5日土曜日

東京ステーションギャラリー「岸田劉生展」4


麗子は大正3年(1914)、劉生が23歳のとき生まれました。もっとも早い油彩の麗子像は、大正7年、第6回草土社展に出品され、今回も会場を凛々しく飾る「麗子五歳之像」(東京国立近代美術館蔵)です。

それ以前から劉生が麗子を写生し描いていたことは疑いありませんが、麗子の頭上に描かれるアーチ型や、その下に書かれた文字――もう款記と呼びたいよう文字によって、この作品が劉生にとってもきわめて重要な意味を有していたことは、おのずから明らかです。

劉生が「内なる美」という芸術観を発表したのは、2年後の大正9年、自選画集『劉生画集及芸術観』においてでした。その芸術論の部分が、21年後の昭和16年(1941)、河出書房から『美之本體』として出版されたのです。いま僕たちは、昭和60年、東野芳明先生の解説とともに講談社学術文庫の1冊に加えられた『美の本体』でこれに親しんでいるわけですが……。

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