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2019年7月29日月曜日

松浦武四郎9


 『自伝』の一節もすごいなぁと感動を呼び起こすが、僕はその辞世に、さらに強く心を動かされた。それは歳をとるにしたがって、祥月命日がめぐってくるたびに、だんだんと強まっていった。その後、中西進氏の『辞世のことば』(中公新書)などによって、少なくない偉人の辞世を知ったが、武四郎ほど心に響く辞世はほかにない。

ところが今回、これは武四郎が理想を述べた辞世であって、実際はそうではなかったことを知った。武四郎は晩年、法隆寺や伊勢神宮外宮、出雲大社など、かつて訪れた全国の名だたる社寺から古材を譲り受けた。それを用いて「一畳敷き」の書斎を、神田五軒町の自邸に増築し、そこで悠々自適の日々を送った。現在は、国際基督教大学内の有形文化財「泰山荘」に移築され、大切に保存管理がはかられている。

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