僕も大学の学長なるものを3年間つとめましたが、雑用とはいわないまでも、管理運営に多くの時間がとられ、どうしても研究の時間や自分の余暇は少なくなってしまいます。それを確保するため、潔い決断をされた水田さんに、心からのオマージュを捧げたいと存じます。
世の中には恩を仇で返すような人間もいて、腸の煮えくり返る思いをされたとも仄聞しましたが、水田さんが世の道に外れたことをされるはずもなく、これまでどおり、そしてこれからも、心底より僕は信頼申し上げております。
その研究所機関誌『比較メディア・女性文化研究』の創刊号こそ、水田さんが新しい世界に歩みだした第一歩です。詩のノーベル文学賞といってもいい「チカダ賞」を受けた詩人でもある水田さんは、「現代女性詩論序説Ⅰ」を寄稿しています。現代の女性詩をフェミニズム批評の観点から論じて、とても刺激的ですが、もっとも僕が興味深く感じたのは、和歌と俳句に代表される詩的伝統に関する、次のような鋭い指摘でした。
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