2018年7月30日月曜日

後期高齢者と李賀5


李賀は老人になったつもりで、青年に対し、とくにうまい世渡りによって成功をおさめた青年に対し、説教を垂れています。しかし李賀は、自分のみじめな青春をシニカルにながめているのです。ほとんど私怨や怨嗟に近いマイナス感情を、このような詩的表現に昇華させた李賀の鬼才を、どのように称えたらよいのでしょうか。

それはともかく、本当に後期高齢者になった僕にとっては、この中唐の七言詩が、逆説的「青春賛歌」みたいに聞こえてきてなりません。「少年を啁[あざ]ける」は、いかにもこの詩人らしい絶唱ですが、しかし李賀といえば、何といっても七言古詩「夢天」――改めてマイ戯訳を紹介することにしよう。

兎と蝦蟇[がま]が泣いている 空の色さえ冷たくて

雲の楼閣 戸を開き 白壁斜めに光ってる

月の車輪は露に濡れ 潤み輝き軋[きし]んでる

仙人仙女が着飾って 木犀のもとランデヴー

三神山の麓では 黄色い大地が蒼海へ

あるいは逆に変るから 千歳[ちとせ]も一瞬走馬灯

遥かに遠く見下ろせば 九本[くほん]の煙が中国で

清らに澄んだ東海も 酒盃の中に入ってる

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