2018年7月8日日曜日

優先席23


れから僕は、生活弱者が近くに来ると、何もいわないでスッと席を立つことにしました。そのあと、その方が座ろうと座るまいと、あの気恥ずかしさからは逃れることができるからです。

何十年も経って、席を譲られたときは、「ありがとう」といって必ず好意に甘えることにしました。同時に、老人が譲られた席を辞退するのは、大して深い意味があるわけじゃなく、人の好意は一応遠慮するという日本人の習慣によるところだと理解するようになりました。

普通の生活では、「まぁ そうおっしゃらずに……」と続くわけですが、車内でそこまで踏み込む人はいないので、そこで会話が途切れ、あのバツの悪い瞬間が生まれるのでしょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿

静嘉堂文庫美術館「静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」4

   富士の裾野における曽我兄弟敵討ちを主題とする『曽我物語』の後日談ともいうべき内容 です。 これまた一種の復讐譚 ですが 、ここに 登場するのが 十郎 に 愛 された 大磯の遊女・虎御前と、五郎 に 思いをかけられた 化粧坂 けわいざか の遊女・少将で す 。その化粧坂から曽...