2018年5月24日木曜日

出光美術館「宋磁」1


 
出光美術館「宋磁 神秘のやきもの」<610日まで>
 仰韶<ヤンシャオ>文化期の彩陶から数えれば、ゆうに7000年の歴史を誇る中国陶磁のなかで、最高のクオリティーに達したのは宋の時代でした。この特別展の副題に「神秘のやきもの」とあるとおり、宋磁――宋時代のやきものの美しさを表現するのに、「神秘的」以外の言葉を見つけることはむずかしいでしょう。見ているだけで、鳥肌が立ってきます。目がウルウルになってきます。専門家が詮索する窯の名なんて、どうでもよくなってきます。
中国文化史では、よく「六朝の書、唐の詩、宋の絵画」といってこれをたたえます。文人士大夫が尊ぶ「詩書画」を3つの時代に当てはめたものでしょうが、僕的には「六朝の書、唐の詩、宋の陶磁」といいたい誘惑に駆られます。青磁・白磁・青白磁・黒釉磁など、きわめてシンプリシティーの高い単色の釉薬をみずからの皮膚とする宋磁をじっと見ていると、「すべての音楽はシンプリシティーを目指す」という名指揮者フルトヴェングラーの至言が思い出されてくるのです。
このような神秘の宋磁に、エレガントな宋磁やカワイイ宋磁も加え、出光美術館コレクションを中心として、100点以上の名品優品を集めたのがこの特別展です。企画キューレーター・徳留大輔さんのカタログ論文や解説、あるいはキャプションを参考にしながら静かに歩を運べば、宋磁のすべてが、あなたの胸底に美しくクッキリとした影を宿すことでしょう。

 

 
 

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

静嘉堂文庫美術館「川喜田半泥子私論」7

翌日はお馴染みの河野トーク、演題は「福田豊四郎 北国の抒情」、この郷愁の画家について持論を吐露していたら、絶筆の「紅蓮の座・池心座主」にたどりつく前に、タイムアップとなってしまいました。 この日の午前中はフリーだったので、前から訪ねてみたいと思っていた石水美術館への...