2018年2月8日木曜日

鎌近「堀文子展」1


神奈川県立近代美術館「白寿記念 堀文子展」<325日まで>

 堀文子さんは、僕の大好きな閨秀画家の一人です。いかにも女性らしい――などというと今やバッシングを受けるかもしれませんが、カタログの表紙を飾る「霧氷」(神奈川県立近代美術館蔵 1982年)のような繊細にしてナイーブな風景画を、男の画家が描けるものでしょうか。

カタログには『堀文子画文集 命といふもの』(小学館 2007年)からの一節が引かれていますが、そのきらめくような言語表現は、造型表現と美しい共鳴を起こして、見るものを魅了します。この絵に心をあずけるためには、さらに深く絵のなかに入って行くためには、どうしても次のような文章が必要であるように感じられました。

厳冬の二月。この木の梢は、精緻なガラス細工に変わるのだ。夜の中に、レースをかけたように細い枝が氷に包まれ、朝日を浴びて輝く霧氷の森となる。その神々しさは此の世のものではない。陽が昇るにつれ、枝のガラスはキラキラと身を躍らせ散り落ちる。歩く度に氷の梢が虹色に変り、ふりしきるガラスの糸に見とれて、私は気もそぞろに歩き廻る。

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