2017年9月17日日曜日

東京都美術館「ボストン美術館の至宝展」3


ボストン美術館と特に親しくさせてもらうことになったのは、鹿島美術財団の助成によるボストン美術館所蔵日本美術悉皆調査に、辻惟雄さんとアン・モースさんからお呼びがかかってからでした。僕の担当は、江戸狩野派、円山四条派、文人画、洋風画雑派の4つで、1998年から2001年にわたり、夏休みを利用しつつ3週間ほど出かけて進めることになりました。

もちろん僕一人でやれるはずもなく、たくさんの友人研究者に協力を仰ぎました。ランチタイムを除いて朝10時から夕方5時まで、ずっと調査室に籠もるわけですから、もうみんなボストン美術館学芸員といった気分です。

量的にもっとも多い江戸狩野派には、2年をあてることにしました。双幅は2点と数えるアメリカ方式にしたがって約650点でしたが、その中でもっとも強く興味を惹かれたのが、英一蝶の彩管になる「仏涅槃図」でした。タテ3mちかく、ヨコ1m70㎝ほどの大涅槃図ですから、とても調査室には入らず、大きな多目的ルームの床に延べてもらって調査することになりました。

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』3

  前回、東京国立博物館の特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」を紹介しましたが、実をいうと後期高齢者の僕には「コンテンツ」の意味がよく飲み込めませんでした。しかしこの辞典にはチャンと「コンテンツ」という項目があって、簡にして要を得た説明がなされています。しかも「マーシ...