いや、まったく何も分からないという点では、絵画でも彫刻でも同じだったでしょう。ともかくも、日本仏教建築のことをゼロから――少しだけ勉強し、あの天平の甍を見上げながら、そしてエンタシスが美しい柱を背にしながら、浅野清先生の受け売りをやって場をふさいだ日のことが、懐かしくよみがえってきたことでした。
もちろんその後、唐招提寺へは何度もお邪魔しているはずですが、やはりこの第1回拝観が、もっとも鮮明に心に刻まれているようです。
そのあと、駅前の食堂で「大和名物 奈良粥」を堪能し、奈良国立博物館へ向かいました。特別展「快慶 日本人を魅了した仏の形」のオープニング内覧会があるからです。新しく館長になられた松本伸之さんに祝辞を述べ、静嘉堂文庫美術館を宜しくとお願いしたあと会場に入れば、快慶の代表作がすべて出ているという、ものすごい展覧会です。
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