2017年3月30日木曜日

今村与志雄『猫談義 今と昔』


今村与志雄『猫談義 今と昔』(東方書店 1986年)と陸游のネコ詩(226日)

 かつて何かの必要があって、唐の段成式が撰した『酉陽雑俎』(東洋文庫)を手に取ったことがあります。『酉陽雑俎』はさまざまなおもしろい話を集めた逸話集のような本です。その翻訳者として、今村与志雄先生のお名前が深く胸底に刻まれました。

その博覧強記ぶりは、愛読する『酒の肴』や『抱樽酒話』を書いた青木正兒と甲乙つけがたく、ただただ感嘆久しゅうするばかりでした。お二人の学風はかなり違うと思いますが、博覧強記という点では軌を一にしています。

その今村先生に『猫談義 今と昔』という名著があることはどこかで聞いていましたが、美術史の論文やエッセーを書くために絶対必要というわけでもなかったので、ネコ派の僕もそのままにしていました。

ところが今秋、静嘉堂文庫美術館で明清画名品展を開くことが、去年早くに決まりました。当然、我が館が誇る沈南蘋の名品「老圃秋容図」にも登場してもらわなければなりません。これにちなんで、ネコの絵に関する館長トークをやってほしいと、担当の大橋美織さんから頼まれました。

二つ返事で引き受けたことは、言うまでもありませんが、今村先生がお書きになった『猫談義』を読まずして、沈南蘋や徽宗のネコを語ることは、とてもできそうにありません。早速、アマゾンで検索すると一件ヒット、即「1クリックで買う」ことと相成りました。

案の定、ものすごく濃い内容です。東方書院発行の月刊誌『東方』に連載した文章を中心にまとめた300ページほどの本ですが、今村先生の博覧強記振りに、改めて驚かないではいられません。

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