唐・韓愈(韓退之)「山石」<梔子くちなし> 続
明け方 独り寺を出りゃ よく帰り道分らずに
あっちこっちと上り下り しかも煙霧が立ち込めて……
山の紅葉もみじと紺碧の 渓水たにみず照り映ゆ爛漫と
時に目に入る大木の 十抱とおかかえもある松クヌギ
さえぎる流れ――裸足にて 川底の石 踏みしめりゃ
逆巻く水音 激しくて 我が衣手に風 生ず
人生かくのごとくんば 楽しむべきだ自分から
いつもおののき忖度そんたくし 縛られるのは真っ平だ
あぁ我が仲間よ友だちよ あぁ我が知音ちいんよ親友よ
必ず年をとる前に 再びここを訪ねよう!!
この「山石」も悪くありませんが、より一層よく知られるのは韓愈が親友の張籍に贈った「早春 水部張十八員外に呈す」でしょう。チョッと暗唱すれば、春雨に煙る長安が眼前に広がります。『唐詩選』にはある年の元日に詠んだ七律一首が採られています。来年のお正月にでも紹介することにしましょう。
『唐詩選』といえば、128人の詩人には配流左遷されたものが少なからず、韓愈は二度までも左遷の憂き目に遭っています。江戸時代には、これを知ってみずからを慰め、奮い立たせた文人画家もいたのではないでしょうか。
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