ところがそれまでは、この作品の真価があまり認められていなかったようです。この点についても、米澤先生が興味深い事実を指摘されていますので、引用させていただくことにしましょう。こんなことがあるんですね!!
わが国に伝存する宋代の仏画は、だいたい南宋の作であるが、仁和寺の孔雀明王(『國華』第三〇九号)や清浄華院の普悅筆阿弥陀三尊(『國華』第六七八号)などは、名品として一般によく知られている。ところが、鎌倉建長寺の釈迦三尊図 は、やはり南宋の名作であるにかかわらず、その真価は案外認められていなかったようである。それは次のような事情にも因ると思う。
『日本国宝全集』 四二号に建長寺の「釈迦三尊図」なるものが掲載されているが、その図は高麗画か元画の鎌倉写しで、本号に掲げたこの図とは似てもつかない凡作である。

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