これに対し、佐藤さんの『若冲・蕭白』は、とくにその「蕭白新論」はきわめて上質な学術論文に仕上げられていたんです。
新鮮な佐藤蕭白像を生み出す上で、もっとも効果を発揮したのは、きわめて重要な漢詩の発見でした。京都で活躍した儒学者、藤原光興こと松波酊斎の遺稿集『藤酊斎先生詩集』に収められる七言古詩「蕭白道人に画を請いて贈る」が、それにほかなりません。
珍しくも着賛のある蕭白画として「峨眉山月図」がすでに知られていましたが、その賛者は判っていませんでした。佐藤さんはその賛者が松波酊斎であることを突き止め、遺稿集からこのオマージュ詩を見つけ出してきたんです。
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