2020年12月6日日曜日

追悼ロジャー・キーズ先生4

もっともその前に、僕はキーズ先生の研究から大きな学恩を受けていました。同じ1985年の1月、『春信』<浮世絵八華1>(平凡社)が出版されましたが、僕は編集を頼まれるとともに、総論「春信――錦絵への軌跡」を書くことになったのです。しかし鈴木春信について研究したこともなく、一から準備を始めなければなりませんでした。

 しかもすでに、小林忠さんのすぐれた春信見立て論が『國華』に発表されていましたから、当時の絵画運動を視野に入れつつ、基本的な事実を分かりやすく書くことに決めたのですが、その際もっともお世話になったのが、キーズ先生の春信作品目録でした。恥ずかしながら、拙文の一説を引用させてもらいましょう。 

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』3

  前回、東京国立博物館の特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」を紹介しましたが、実をいうと後期高齢者の僕には「コンテンツ」の意味がよく飲み込めませんでした。しかしこの辞典にはチャンと「コンテンツ」という項目があって、簡にして要を得た説明がなされています。しかも「マーシ...