2020年2月25日火曜日

根津美術館「虎屋のおひなさま」2




オープニング内覧会に招かれて堪能した饒舌館長が選ぶ「僕の一点」は、藤本鉄石(181763)の「立雛図」です。鉄石は江戸後期に活躍した文人画家、僕も大好きな一人です。伝歴については『新潮世界美術辞典』の項をそのまま掲げておきましょう。

名は真金、字は鋳公、別号は鉄寒士、都門、売菜翁。岡山東川原に生まれ、藤本家の養子となる。閑谷黌[しずたにこう]に学んで郡奉行所の小吏となったが、天保11年(1840)脱藩して大坂に出た。のち全国を遊歴して名跡をたずね一家をなした。画系は明らかでない。同志と天誅組を組織し、勤皇の志士の奮起を促したが、戦死した。詩書画を善くし、画には飄逸な風格があり、のちの富岡鉄斎に通じるものがある。作例に『山水図画帖』(東京、個人蔵)、『菊花図』(倉敷、荻野家蔵)などがある。

0 件のコメント:

コメントを投稿

出光美術館「トプカプ・出光競演展」2

  一方、出光美術館も中国・明時代を中心に、皇帝・宮廷用に焼かれた官窯作品や江戸時代に海外へ輸出された陶磁器を有しており、中にはトプカプ宮殿博物館の作品の類品も知られています。  日本とトルコ共和国が外交関係を樹立して 100 周年を迎えた本年、両国の友好を記念し、トプカプ宮...