2020年1月6日月曜日

服部南郭の春の詩6



また南郭が近体詩の平仄を誤るなど詩律を遵守しないことについて、同門の太宰春台から手きびしく批判されたことがある(「『蘐園録稿』の後に書す」、『紫芝園後稿』十。その他)が、この詩の起句・承句も平仄が合っていない。(略)起句では二六(龍と月)が対せず、孤平(江)があり、承句では下三平(金龍流)が認められ、両句は失粘[しってん](龍―揺、畔―湧)となっている。 

私見 頼山陽「詩論絶句」の「両岸の秋風 二州を下る」は、もちろん「夜 墨水を下る」の結句を引用したものですが、山陽の義理の叔父にあたる尾藤二州に、南郭は遠く及ばないとも読めそうです。
それはともかく、詩律に反していたとしても、やはり南郭の漢詩は日本人の心をとらえるところ多く、僕は大好きです。それに、南郭も絶句だ律詩だというから文句をつけられるのであって、平仄を無視した幼体詩だと居直ってしまえばよかったのではないでしょうか( ´艸`)

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