2019年7月1日月曜日

静嘉堂文庫美術館「書物にみる海外交流の歴史」3


モノでは、正倉院御物や唐物や地球儀に代表されるような西洋文物があげられます。鉄砲のような武器も、眼鏡絵のようなおもちゃも、戦後我が国がアメリカから輸入して学んだ家庭電化製品も、重要なる文化的モノでした。もちろんこれに彫刻や絵画も加えることができます。

今回のテーマともなっている書物は、モノといえばモノにちがいありませんが、ほかのモノとは決定的な違いがあります。ヒトやモノと比較して情報量がものすごく多いのです。それでいて運搬に便利です。ヒトを複製することはできませんし、モノを複製することは大変な労力を必要とします。しかし、書物は簡単に増刷できますし、いざとなれば復刻版――今の言葉でいえば海賊版を作ることもむずかしくありません。

ということは、経済的に大変すぐれているということになります。ヒトやモノに比べて、コストパフォーマンスがとてもすぐれています。

0 件のコメント:

コメントを投稿

ブータン博士花見会4

  とくによく知られているのは「太白」里帰りの物語です。日本では絶滅していた幻のサクラ「太白」の穂木 ほぎ ――接木するための小枝を、イングラムは失敗を何度も重ねながら、ついにわが国へ送り届けてくれたのです。 しかし戦後、ふたたび「染井吉野植栽バブル」が起こりました。全国の自...