2019年2月14日木曜日

森アーツセンターギャラリー「新・北斎展」6


実をいうと、永田さんのお蔭で、この太田記念美術館や氏家コレクションの仕事を、微力ながら手伝わせてもらえるようになったのです。私が浮世絵に関する本当の勉強ができたのは、その賜物にほかなりません。

去年秋の朝日新聞に、「北斎画千点 島根県に寄贈 川崎の研究者・永田さん」という記事が載りました。永田さんが、松江市の島根県立美術館に、所有する北斎や弟子の全作品、約1000点を寄贈したことをこの記事は伝えています。浮世絵界の快挙です。永田さんが北斎の収集を始めたのは、じつに十六歳のときだったそうです。津和野町の葛飾北斎美術館には、私もお邪魔してそのすぐれたコレクションを堪能したことがあります。そのとき見せてもらった「鍾馗図」は、北斎が春朗と号していた青年時代における唯一の肉筆画だそうです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

根津美術館「唐絵」8

   その山水はいわゆる辺角の景という構図になっています。画面の左上から右下に対角線を一本引いて、その左下に近景を描き、右上の余白に遠景を添えて遠近感を視覚化させています。 このような辺角の景は、中国・南宋時代の画院画家である馬遠や夏珪が好んで用いた構図法でした。ですから馬の...