2018年3月26日月曜日

広瀬淡窓3


僕は井上義巳氏の『広瀬淡窓』(人物叢書)と、頂戴した尚美さん編の『広瀬資料館図録』などによって、その思想と意義を知るのみです。井上氏によると、淡窓における「敬天」は、朱子学における「天即理」説がもたらす「天」の法則化、固定化を排して、人間の内面=「心」の問題において、その拠り所あるいは道徳的修身論を提示したところに意義があるそうです。

淡窓は、禁酒といった卑近な比喩を引いてこれを説明しているのですが、僕にはこの方がずっとよく理解できました()。それを僕的現代語に直してみると……。

自分の心に誓いをたてて酒を止めようとするのは、唯心論者が自分の心に誓いを立てて身を律しようとするのに似ている。一方、神罰を畏れて酒を止めようとするのは、天を敬う者が天の威力をもって身を律しようとするのと似ている。したがって私は、その天を敬う気持ちこそ、もっとも重要なことだと考えているのである。


0 件のコメント:

コメントを投稿

渡辺浩『日本思想史と現在』12

  そのとき『君たちはどう生きるか』の対抗馬 (!?) として挙げたのは、色川武大の『うらおもて人生録』(新潮文庫)でした。京都美術工芸大学にいたとき、『京都新聞』から求められて、就職試験に臨む受験生にエールを送るべくエッセーを寄稿したのですが、本書から「九勝六敗を狙え」を引用し...