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2021年7月7日水曜日

三菱一号館美術館「三菱の至宝展」8

 


 「僕の一点」――静嘉堂からは橋本雅邦の「龍虎図屏風」に指を折りたいですね。明治28年(1895)京都・岡崎で開催された第4回内国勧業博覧会へ出品された雅邦の代表作です。東京と京都の日本画家よる屏風絵の競演という、この博覧会で人気を呼んだ企画のために制作された六曲一双屏風の一つですが、このプロジェクトのプロデューサーにしてパトロンこそ岩崎弥之助だったのです。

 詳細は静嘉堂文庫美術館キューレーター・浦木賢治さんのカタログ解説に譲って、ここではあるエピソードを紹介することにしましょう。僕が大好きな近代日本画家の一人に、川合玉堂がいます。きっと静嘉堂ファンの皆さんのなかにも、玉堂ファンがたくさんいらっしゃることでしょう。 

2021年7月6日火曜日

三菱一号館美術館「三菱の至宝展」7

 


 東洋文庫のメダマはモリソン文庫です。オーストラリア出身のジャーナリストにして中華民国の政治顧問をつとめたジョージ・アーネスト・モリソンの本および資料のコレクションを、岩崎久弥が一括購入したものです。

このモリソンの息子がイアン・モリソンというジャーナリストです。彼はマーク・エリオットと名前を変えて、名画「慕情」でウィリアム・ホールデンが演じるヒーローに変身を遂げることになるんです。その話を、饒舌館長は延々とやって、あまつさえあの有名な主題歌の出だしをダミ声で歌ったりしていますが、これってモリソン文庫と本質的関係はまったくないじゃないですか!!

もちろん饒舌館長もよく分かっていながら、カセット・ミュージアムの関さんに乗せられて、脱線してしまったんです(笑)

2021年7月5日月曜日

三菱一号館美術館「三菱の至宝展」6

 

 ハードカバーの豪華カタログはもちろんですが、カセット・ミュージアムさんが仕上げてくれたオーディオガイドもおススメです。ナビゲーターは「日本で一番忙しいナレーター」とたたえられる窪田等さん――とくに人気TV番組「情熱大陸」で有名ですね。

はじめてお声を聞いたとき、僕は若いころ毎晩のようにスイッチを入れた城達也さんの「ジェットストリーム」を思い出しました。キューレーターがまとめた簡にして要を得た解説が、衒[てら]いのないなめらかな抑揚にのって、スッと耳から脳へ到達するといった感じです。

窪田さんの解説が終ると、そのあとに三菱一号館美術館の野口玲一さんと饒舌館長の対談が3つ、「ボーナストラック」としてくっついています。対談といっても、饒舌館長がほとんど一人でしゃべっちゃっているみたいですが(笑)、番号でいえば、30、40、50です。とくにその脱線ぶりに笑えるのは40ですね。

2021年7月4日日曜日

三菱一号館美術館「三菱の至宝展」5

最後に、日本東洋のすぐれた文化と美しき伝統を愛して止まなかった岩崎家の象徴として、小弥太の句集『巨陶集』『早梅』から五句ほどを選び、また和歌一首を添えつつ筆を擱くことにしよう。

   天平の昔なつかし曼珠沙華

   散る花や静かに座[おわ]す廬舎那仏

   貫之の歌切は何んと梅の宿

   古きものいとしむ心秋の雨

   枯れしもの皆美しや冬の雨

   理[ことわり]にのみ生く人は天地[あめつち]のまことの情[こころ]知りがてぬかも

2021年7月3日土曜日

三菱一号館美術館「三菱の至宝展」4

 

本特別展の会場となる三菱一号館美術館は、来日して我が国近代建築の基礎を築いたイギリスの建築家ジョサイア・コンドルが設計建設した、三菱一号館をそのままに復元してなったものである。またコンドルは、弥之助の深川邸洋館、高輪邸、久弥の茅町本邸、小弥太が弥之助3回忌に際して建てた世田谷区岡本の廟なども手がけている。

その後久弥が駒込に建てた東洋文庫、小弥太が岡本に造った静嘉堂文庫は、コンドルにも学んだ桜井小太郎が完成させたものである。このように三菱・岩崎家が愛して止まなかったコンドルが没してから、今年は100周年の節目にも当たっている。深きえにしを感ぜずにはいられない。

2021年7月2日金曜日

三菱一号館美術館「三菱の至宝展」3

 

立場上、僕はこの特別展の総監修ということになり、カタログに巻頭エッセーを書くハメになりました。いや、「名文家の俺に書かせろ!!」と言ったような気がしないでもありませんが(笑)、その初めと終わりの一節を、モトゲンから引用することにしましょう。

土佐国(高知県)安芸郡井ノ口村の地下浪人の家に生まれた岩崎弥太郎が、苦心惨憺の末、知人を誘って海運業を営む九十九商会――現在の三菱を興したのは、明治3年(1870)のことであった。今年令和2年(2020)は、それから数えて150周年の節目に当たっている。これを記念する特別展が、この「三菱の至宝展」にほかならない。

三菱ゆかりの静嘉堂文庫と東洋文庫、三菱経済研究所、三菱一号館美術館、さらに三菱金曜会や広報委員会が力を合わせ、その優れたコレクションの全貌を堪能していただけるよう智恵を絞った。三菱が文化的に果してきた貢献――現代の言葉でいえばフィランソロフィーをも感じ取っていただければ望外の喜びである。

2021年7月1日木曜日

三菱一号館美術館「三菱の至宝展」2

 今日7月1日、夕方6:30から、三菱一号館美術館の野口玲一さんとトークショーを開きます。時節柄、リモートによるトークショーになってしまいましたが、本来はもちろん対面の予定でした。しかも、単なる対面じゃ~ありません!! おいしいワインを楽しんでもらいながらお聞きいただくという、「トークショー ワインの夕べ」だったんです。となると、当然のことながら、野口さんと僕もお相伴させてもらうということになります(!?) 

ところがこのコロナ禍、ワインの夕べどころの話じゃ~なくなり、結局リモートということになってしまいました。しかし皆さんは、ワインでもなんでも家呑みをやりながら、お聞きいただきたいと思います。それはともかく、三菱が社運を賭けた(?)「創業150周年記念展」にして「国宝集結展」ですから、もうリモート・トークショーのチケットも完売しちゃっているかもしれませんが……。

 

繭山龍泉堂(Ryusendo Gallery)「宋磁」5

   これもひとえに繭山順吉さんと岡田利兵衛先生のお陰でした。この屏風 はいま 静岡県立美術館のコレクションになっています。 現在、繭山龍泉堂の社長 をつとめているのは 、これまで何度も「饒舌館長ブログ」に登場して もらっている 畏友・川島公之さん で、 順吉さんと同じく大変お世...