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2019年6月30日日曜日

静嘉堂文庫美術館「書物にみる海外交流の歴史」2


我が静嘉堂文庫には20万冊の古典籍が収蔵されており、12万冊が漢籍、8万冊が和書となっています。美術館の方も静嘉堂<文庫>美術館というくらいですから、むしろ静嘉堂は本来ライブラリーであるといっても間違いじゃ~ありません。その中から、我が国と海外との交流を物語る本を選りすぐり、文字と挿絵によって学び楽しんでいただきたいと企画した展覧会です。最初に掲げたのは、そのチラシのリードです。

 海外と交流したり、文化を学んだり、ある影響を与えたりするときに重要なのは、ヒトとモノと書物だと思います。我が国の場合、ヒトといえば遣隋使や遣唐使、キリスト教宣教師、さらにお雇い外人がこれにあたるでしょう。文化交流にあたって、その基底にヒトがあったことは、改めて指摘するまでもありません。

2019年6月29日土曜日

静嘉堂文庫美術館「書物にみる海外交流の歴史」1


静嘉堂文庫美術館「書物にみる海外交流の歴史~本が開いた異国の扉~」<84日まで> 

 四方を海に囲まれた国、日本。しかしそれにもかかわらず、この列島はその長い歴史を通して他国との往来が途絶えたことはありませんでした。日本の歴史と文化は、絶え間なく続けられてきた海外交流の中で育まれてきたものと言えるでしょう。古代以来、我が国の文化は大陸や半島の影響を大きく受けてきました。更に江戸時代にはそれらに加え、西洋からも幅広い情報がもたらされるようになりました。では、それらの“交流”はどのような形で本の中にみることができるのでしょうか。本展では、全体を大きく4つのコーナーに分け、さまざまな書物の中にみられる“交流の姿”を辿ります。

2019年6月28日金曜日

范成大「夏日田園雑興」2


またこの詩は、渡辺崋山も愛して止まなかったらしく、情趣掬すべき扇面画と書の121セットとして遺しています。この連作が幕末期に大変流行したという、文学史的背景もあったようです。

この崋山の名品については、10数年前になりますが、『國華』1323号に小林忠さんが紹介していますので、是非ご参照いただきたいと思います。もちろん崋山は、「蝴蝶双々」と「梅子金黄」を抜かりなく取り上げていますが、とくに前者は出来映えがすぐれており、『國華』でもカラー図版に選ばれています。                    

 梅の実熟れて黄金色[こがねいろ] 大きくなったアンズの実
 雪の白さの麦の花 菜の花ちょっと残ってる
 夏の日長く籬[まがき]のへん 通る人影絶えてなく
 ただ蜻蛉[せいれい]とアゲハチョウ 飛んでいるのが見えるだけ

2019年6月27日木曜日

范成大「夏日田園雑興」1


 22日(土)は「書物にみる海外交流の歴史――本が開いた異国の扉――」展のオープン初日でした。10時開館と同時にいらっしゃる熱心なお客様をお迎えするため出勤したので、今日の日曜日は、先日紹介した渡辺秀喜さんの『漢詩百人一首』(新潮選書)にマイ戯訳をつけて、のんびりと過ごしました。

ちょうど今の季節にピッタリの范成大が詠んだ七言絶句「夏日田園雑興」の「梅子金黄」があったので、それを紹介することにしましょう。

范成大は南宋の田園詩人、これを含む「四時田園雑興」はその代表作としてよく知られていますね。とくに僕が大好きな晩春の「蝴蝶双々」は、中国語で暗誦できるので、ときどきおしゃべりトークで使います。中国語でやったあと、「ここでたいてい拍手が起こるものですが……」と言って笑いを取るんです()


2019年6月26日水曜日

金子啓明『古代一木彫像の謎』6


本来タケも東南アジアの原産で、それが中国にもたらされたものと考えられています。タケのことを英語で「バンブー」といいますが、これはタケを祭祀などで燃やす習慣のあった東南アジアで、その破裂音を聞いた欧米人が、これをその名称に用いたものであると、どこかで読んだ記憶があります。

実際、中国でもタケは江南から南部に多く、華北地方には少ない植物です。もちろん現在では、北京でも公園などに出かければ、簡単にタケを見ることができます。実際に見に行ったことがあるところに、紫竹院公園がありますが、これらは移植されたものにちがいありません。このようなタケを、わざわざカヤで彫りだしている点からも、「百済観音立像」は中国南朝様式に由来する仏像である!!というのが、私見なのですが(!?)

2019年6月25日火曜日

金子啓明『古代一木彫像の謎』5


我が国のクスノキ像として、もっともよく知られているのは、何といっても法隆寺の「百済観音立像」ですね。はじめにお話したように、去年11月、國華清話会特別鑑賞会で拝見した「僕の一点」です。あの美しくスッキリとした垂直性を、中国の南朝様式に結びつけるか、斉隋様式と関係づけるか、彫刻史のほうでも結論は出ていないようですが、僕は絶対南朝様式に賛成ですね。もっともこれを実証することは不可能で、直感にすぎないのですが……。

僕が注目するのは、そのクスノキという用材のほかに、あの宝珠形光背を支える支柱ですね。驚くべきことに、それはタケの形になっているんです。用材はカヤだそうですが、節や竹の皮まで彫りだして、タケに見せています。このたび「百済観音立像」を拝むとともに、よく自分の眼で確認してきました。

2019年6月24日月曜日

金子啓明『古代一木彫像の謎』4


仏教という異国の宗教と神が入ってきたとき、そのイメージを作るために、日本の神のヨリシロであったクスノキという樹木を用いることは、ごく自然なことではないでしょうか? 

もう一つ考えられるのは、クスノキの原産地と関係する問題です。クスノキは東南アジアが主なる生育地です。ブラジルにもあるそうですが……。この東南アジアのクスノキが、中国に伝わったのでしょう。それはクスノキの漢字をみれば一目瞭然で、「楠」というのは、南からきた樹木という意味だとされています。

まえに言ったことと矛盾してしまいますが、この場合には、古代中国の南の地方では、クスノキで仏像を造った可能性が推定されるということになります。その習慣が我が国に伝えられたのではないでしょうか?

絶滅写真作家(!?)杉本博司さんの魅力を改めて感じさせてくれる特別展が竹橋で開催中です!!18

    けだもののみち きわめきて いまのひとひととは言えどいまもけだもの     喜怒哀楽いろ ん な話おもしろし醒めては果てん夢のまた夢   アテナイであてもないのに戦 いくさ かなマケドニアには負けられまへん   杉本絶滅写真の集大成ともたたえられるべき特別展です。じつに素...