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2022年7月7日木曜日

宝塚「めぐり会いは再び」11

今回、宝塚歌劇を初めて観ましたが、みなさんの関心が大変高いことも今回はじめて知りました。たくさんのコメント、批判、体験談が寄せられたからです。例えば……。

  宝塚歌劇にもエロティシズムの強い演題は少なくない。もっとたくさん観てから論じるべきだ。

  日比谷より宝塚で鑑賞すること、その近くのスターが集まる甘味屋さんにも行くことを勧める。

  荒唐無稽というより、関西のノリと考えた方がよいのではないか?

  教育システムが宝塚歌劇と歌舞伎で大変よく似ている点も重要ではないか?

  荒唐無稽性は歌舞伎より文楽の方がずっと強い。

  お袋が大のヅカファンで、小さいころよく連れていかれ、「オマエが女の子だったら……」と言われていた。

  この「饒舌館長」ブログを読み、日本人として一度は観にいかねばなるまいと思った。

かくのごとく、酒ネタよりも、猫ネタよりも、映画ネタよりもずっとコメントが多かったんです!!!!! もちろん美術ネタよりも() 

 

 

2022年7月6日水曜日

宝塚「めぐり会いは再び」10

 

静嘉堂文庫美術館には重文に指定されて有名な「四条河原遊楽図屏風」があります。その左隻には遊女歌舞伎の総踊りが描かれています。そこに横溢していたにちがいないエロティシズムが、「グラン カンタンテ」には爪の垢ほどもありませんでした。

逸翁はあれほど強い影響を歌舞伎から受けたにもかかわらず――たとえ知らず知らずのうちにではあったとしても――歌舞伎のエロティシズムだけは、意識的に排除したのではないでしょうか。

それは宝塚新温泉で老若男女だれでもが楽しめる国民劇に不必要な要素、いや、むしろ百害あって一利なき要素だったからでしょう。

2022年7月5日火曜日

宝塚「めぐり会いは再び」9

 

阿国歌舞伎や遊女歌舞伎や若衆歌舞伎の残り香なのでしょうか、歌舞伎においてエロティシズムはきわめて重要な要素です。江戸時代、遊里と芝居が二大悪所とされた事実が、それを物語っています。またそれは、女形という倒錯した役柄に象徴されています。しかし「めぐり会いは再び」にも「グラン カンタンテ」にもエロティシズムは存在しませんでした。少なくとも饒舌館長には、まったく感じられませんでした。

もちろん、礼真琴は倒錯した役柄を演じる男役です。しかし健康そのもの、好色性の香りをそこに嗅ぎつけることは不可能でした。舞空瞳は「めぐり会いは再び」で素晴らしい脚線美を見せてくれましたし、「グラン カンタンテ」ではハイレグカットの衣装でも登場しました。

また前者ではルーチェとアンジェリークの一瞬のキスシーンもありましたし、後者ではあの有名なフレンチカンカンのようなラインダンスがありました。しかしそれらはセクシーであり女性美ではあっても、歌舞伎に感じられるエロティシズムではありませんでした。

2022年7月4日月曜日

宝塚「めぐり会いは再び」8

 

そのほか、舞踊や音楽の重視、バッチリメークに至るまで、宝塚歌劇は歌舞伎の美意識を色濃く継承しています。しかし、小林逸翁が宝塚少女歌劇を構想したとき、歌舞伎を参考にしたとは思いません。参考にしたのは欧米のオペラやミュージカルであり、それをもとにした白木屋少女音楽隊であったにちがいないのです。だからこそ「少女歌劇」であって、「少女歌舞伎」じゃ~ありませんでした。

ところが、日本で生まれ育った逸翁は、知らず知らずのうちに、より一層深く馴染んでいた歌舞伎、言ってみればDNA化していた歌舞伎の影響を決定的に受けてしまったのではないでしょうか。しかし、逸翁が意識的に排除した歌舞伎の魅惑的美がありました。それは歌舞伎のエロティシズム――好色性でした。


2022年7月3日日曜日

宝塚「めぐり会いは再び」7

 

第三に、両者ともスターシステムによって成立している点です。スターを見るための演劇です。そもそもストーリーは荒唐無稽ですから、これによって社会や人間や心理の本質を考察することは、ほとんど不可能だといってよいでしょう。「人形の家」と比べるまでもなく……。

歌舞伎座に出かけるのは、海老蔵や勘九郎や松也や七之助や玉三郎を観るためなんです。「めぐり会いは再び 真夜中の依頼人」は、礼真琴や舞空瞳を見るために行くんです。公演が終わって外に出てくると、「礼真琴」と書いた小さなプラカードを持った人が並んで、ファンと思われる人からカードのようなものを受け取っていました。僕にはよく分りませんでしたが、宝塚歌劇というより、礼真琴だけが好きなファンの集まりみたいな雰囲気でした。



2022年7月2日土曜日

宝塚「めぐり会いは再び」6

 

第二に、ストーリーがきわめて荒唐無稽なんです。もちろんこれは宝塚歌劇や歌舞伎を貶めているわけではありません。それどころか、この荒唐無稽にこそ日本的価値があるんだと思います。日本の近代演劇はこの荒唐無稽的性格を打破しようと試みましたが、いまの歌舞伎人気をみるにつけても、結局うまくいかなかったのではないでしょうか。

歌劇つまりオペラの最高傑作である「白鳥の湖」もあり得ない話ですが、荒唐無稽とはいえないでしょう。ミュージカル「マイフェアレディ」や「ウエストサイドストーリー」にも、あるリアリティがあって、荒唐無稽とはほとんど無縁です。もっとも宝塚版「ウエストサイドストーリー」もあるようですが……。宝塚歌劇と歌舞伎にみる豪華絢爛たる衣裳の美しさも、この荒唐無稽性と関係するのかもしれません。

2022年7月1日金曜日

宝塚「めぐり会いは再び」5

 

先に遊女歌舞伎にもっとも近いと書きましたが、実際に観ると、宝塚歌劇は歌劇とかミュージカルというより、これは歌舞伎だという感を深くしました。歌舞伎のDNAが濃厚に受け継がれているんです。

第一に出演者が一つの性に限定されています。歌舞伎は阿国歌舞伎に端を発し、遊女歌舞伎→若衆歌舞伎→野郎歌舞伎と発展し、現在の歌舞伎は野郎歌舞伎の伝統を引いているわけですが、男女いずれにしろ単一の性によって演じられてきました。宝塚歌劇は初めから女性という単一の性に限定してきたわけです。

絶滅写真作家(!?)杉本博司さんの魅力を改めて感じさせてくれる特別展が竹橋で開催中です!!8

    僕 は 杉本さんの写真以外のお仕事をほとんど知らない ん です。 もっとも 料理については、 『趣味と芸術――謎の割烹 味占郷』(ハースト婦人画報社 2015年)を拝見して、感を深くしたことがありました。   杉本さんの手になるお料理は、 どれもこれもじつに旨そうな ん ...