大堤数株柳 だいてい すうしゅのやなぎ
不繋歓舟帰 かんがふねの かえるをつながず
空余悩人色 むなしくひとを なやますいろをあまして
不似儂依依 どうがいいたるににず
数株の柳 堤防に…… 繋がず君が帰る舟
風になびく葉 艶[なま]めくも もっと燃えてる恋心
大堤数株柳 だいてい すうしゅのやなぎ
不繋歓舟帰 かんがふねの かえるをつながず
空余悩人色 むなしくひとを なやますいろをあまして
不似儂依依 どうがいいたるににず
数株の柳 堤防に…… 繋がず君が帰る舟
風になびく葉 艶[なま]めくも もっと燃えてる恋心
青山文化センターにおける収録では、この「千辛復万苦……」をさらに訳したマイ戯訳を読み上げました。それは……
一生懸命苦労して 朝に自分で結った髪
いとしい貴方とベットイン きれいな髷[まげ]も乱れちゃう
当然編集でカットされるものと思っていました。なにしろお堅いNHKですよ。ところがそのままオンエァされちゃったんです(!?) きっと人間や文化の何たるかをよく知ったディレクターさんだったのでしょう。
それはともかく、この潮来節を漢詩に翻訳するというチョット衒学的な遊びが、先に秋の詩を紹介した服部南郭によって早く行なわれていたことを知ったのです。これはおもしろい!!と思って、先月発行された『聚美』37号に書きましたので、ご興味のある方はご笑覧くださいませ。
千辛復万苦 せんしん またばんく
今朝手親梳 こんちょう てみずからくしけずる
嚥婉同床裡 えんえんす どうしょうのうち
雲鬢故乱紆 うんかん ことさらにらんうす
もちろん饒舌館長は、この翻訳漢詩にさらに戯訳をつけて楽しんできました。先日アップしたように、いまNHKラジオ第2・カルチャーラジオ「葛飾北斎再発見」という番組に出ていますが、その第4回は「宗理型美人と狂歌絵本」でした。
葛飾北斎『潮来絶句集』と服部南郭
今年生誕260年を迎えた天才浮世絵師・葛飾北斎に『潮来絶句集』というすばらしい狂歌絵本――厳密にいえば狂詩絵本があります。狂歌師・富士唐麿がわが国の潮来節を漢詩に翻訳し、それに北斎が挿絵を添えた、情緒纏綿たる傑作絵本です。かつて迷著『北斎と葛飾派』(日本の美術367)に私見を書きましたし、「饒舌館長」にもアップしたことがあるように思いますが、改めて一例をお示ししましょう。
しんくみだしてけさゆふたかみを ぬしのそひねでみだれがみ
これがもともとも潮来節ですが、富士唐麿はこれを次のような漢詩に翻訳したのです。じつに愉快じゃ~ありませんか。結句の「雲鬢」は「雲鬟」の彫り間違いのようですが……。
中秋の独酌
もの寂しくて俺一人 玉壷の酒を酌んでいる
夜の情趣を江戸の地で 味わうヤツなど誰もいず
俗世で年取りゃ我が心 氷のように冷え切って
秋来りゃ空にはお月さん 光っているよただ一つ
白髪を照らす丸鏡 かかったようだよ大空に
赤羽川の川底に 沈んだごとき珠[たま]を愛づ
こんな素敵な中秋の 夜 町なかの友だちが
空を仰いで俺のこと 思い出してる? いや全然?
秋夜、友人に別る。『安』の字を得たり
別れの宴[うたげ]は真夜中に なってお酒も冷えました
「別れたあともお互いに 無事で……」と言葉 交わすのみ
今夜はるかに指差した 関所の山に出た月を
明日は地の果て行く馬の 背中で君は見るのでしょう
けだもののみち きわめきて いまのひとひととは言えどいまもけだもの 喜怒哀楽いろ ん な話おもしろし醒めては果てん夢のまた夢 アテナイであてもないのに戦 いくさ かなマケドニアには負けられまへん 杉本絶滅写真の集大成ともたたえられるべき特別展です。じつに素...