桜と相性がよい文学は和歌でしょうが、漢詩だって負けてはいません。先に紹介した渡部英喜さんの『漢詩花ごよみ』に江戸末期に鳴った漢詩人・藤井竹外の七言絶句「芳野」が載っています。またまたマイ戯訳で紹介することにしましょう。
古き陵みささぎ――松柏まつかしわ つむじ風受け吼ほえている
春の爛漫 山寺に 尋ねりゃ桜は散ったあと
雪の眉毛の老僧が 箒ほうき持つ手を休めつつ
積もる落花に囲まれて 昔語りは吉野朝よしのしょう
このような静嘉堂の社会的貢献――いまの言葉でいえばメセナとかフィランソロピーという視点も取り入れられています。単なる静嘉堂名品展ではありません。それは中心となってキューレーションを行なった学芸員・吉田恵理さんの功績です。 「僕の一点」は宮川長春の「形見の駒図」ですね。カ...
0 件のコメント:
コメントを投稿