2025年1月7日火曜日

揖斐高『江戸漢詩の情景』2


 六如「春寒、戯れに作る」

  何度か梅見に出んとして 出かけていません余寒ゆえ

  読み止しの本 手にしつつ 火鉢かかえて転寝うたたねを……

  やがて鼾いびきが始まると これ幸いと我が侍童じどう

  裏の庭へと走り去り 凧を揚げるに無我夢中


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揖斐高『江戸漢詩の情景」4

六如「春寒」   花の便りが聞こえても まだ寒風が吹き止まず   老いた俺にはあったかい 炬燵 こたつ にまさるものはなし   遠くの空に揚がる凧 放つ唸 うな りを頬杖 ほおづえ を   つきつつ聞けば幼少の 楽しかった日 思い出す