2024年12月12日木曜日

根津美術館「百草蒔絵薬箪笥と飯塚桃葉」7

 

ここで思い出したのは、これまた半世紀近くまえ京都四条河原町の丸福商店で見た「源氏貝」です。蒹葭堂旧蔵本と同じような貝の標本ですが、その趣向がじつにおもしろいんです。箱を区画して本物の貝を入れ、それを覆う紙も同じように罫線で区切り、そこに貝の名と『源氏物語』の帖名を書き込んであるんです。例えば細長いタケノコガイを笛に見立て、これを「横笛」の帖にあてるというように……。誰ですか、こじ付けじゃないかなんて言ってるのは?

ほかに「歌仙貝」もあって、これには歌仙が詠んだ歌まで書いてありました。このほかにも同じ趣向のものがあったように記憶していますが、丸福の方は明治時代に作られたものだろうとおっしゃっていました。

0 件のコメント:

コメントを投稿

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」6

  実はさる 3 月 29 日の土曜日、この「桜 さくら SAKURA  2025 」展にちなんで、「桜を描いた名品佳品 饒舌館長ベストテン」と題する講演を、いや、口演をやらせてもらいました。会場は山種美術館から歩いてすぐのところにある國學院大學院友開館、足元のよくないなか、 1...