2024年4月6日土曜日

岩波ホール「山の郵便配達」7

1980年代初頭、中国湖南省の山岳地帯。長年郵便配達を務めてきた男は、後を継ぐことになった息子を連れて、初めて一緒に仕事に出る。重い郵便袋を背に、愛犬“次男坊”と共に峻険な山道をたどり、いくつもの山を訪ねる23日の旅。父は、道筋は勿論、集配の手順、手紙を運ぶ責任の重さと仕事の誇り、そして手紙にこめられた人々の想いを、静かに息子に教えていく。幼い頃から息子は、寡黙で留守がちな父に対して、距離を感じていた。だが、村人の信頼を集める父の姿に接し、徐々に尊敬の念を深めていく。いつもそばで父を支え、彼をやさしく包んでくれた母の偉大さにもあらためて気づく。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

追悼シンポジウム「高階秀爾館長と大原美術館」4

   僕は10月17日が、 杉田玄白とともに『解体新書』を翻訳出版した 蘭化前野良沢の 祥月命日でもあることからスピーチを始めました。もちろん高階先生が『解体新書』を「江戸のなかの近代」として 最重要視され 、出版220周年の1994年には、挿絵を担当した小田野直武の出身地である...