2023年2月25日土曜日

『美術商・林忠正の軌跡』9

 

福沢諭吉が『文明論之概略』のなかで次のように述べたのは、客観的にそれを指摘したものだったと思います。いかにも啓蒙家らしく、直接的批判を避けていますが……。かつて「高橋由一 江戸絵画史の視点から」(辻惟雄編『幕末・明治の画家たち』)という拙文を書いたとき、僕はこの指摘をもって〆としたのでした。 

試みに見よ、方今我が国の洋学者流、其の前半は悉皆みな漢書生ならざるはなし。悉皆神仏者ならざるはなし。封建の士族に非ざれば封建の民なり。恰あたかも一身にして二生を経るが如く、一人にして両身あるが如し。

ヤジ「オマエの文章は、たいてい誰かの言葉や資料を引いてオチにしているが、自身の結論というものはないのか!!


0 件のコメント:

コメントを投稿

静嘉堂文庫美術館「静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」5

  この長春筆 「形見の駒図」は、「世継曽我」の虎御前と化粧坂の少将を、当世風の美人に移し変えて描いた見立て絵 ということになります 。 先の山本九兵衛版『世継曽我』の挿絵 も 当世風美人になっているのですが、 このような見立てが近松浄瑠璃の「世継曽我」においてすでに完成している...