2023年2月26日日曜日

『美術商・林忠正の軌跡』10

 

 しかしこの問題は、チョット違った観点から考えることもできると思います。例えば、相異なる教理などを折衷し、調和させる「習合」という視点です。神仏習合のような……。あるいは和魂洋才や近代化といった視点もアリでしょう。

日本人は基本的に楽観主義的で、それが日本美術を大きく規定していると、尊敬する源豊宗先生は指摘しています。また日本人がフレクシビリティに富むことはもはや常識に属しますが、このような国民性から考察することも不可能ではないでしょう。近代以前における日本文化の骨格をなしたといっても過言ではない、中国文化の摂取学習と比較すれば、なおさらにおもしろいのではないでしょうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿

静嘉堂文庫美術館「静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」5

  この長春筆 「形見の駒図」は、「世継曽我」の虎御前と化粧坂の少将を、当世風の美人に移し変えて描いた見立て絵 ということになります 。 先の山本九兵衛版『世継曽我』の挿絵 も 当世風美人になっているのですが、 このような見立てが近松浄瑠璃の「世継曽我」においてすでに完成している...