2023年2月21日火曜日

『美術商・林忠正の軌跡』5

 

 これを読んで、饒舌館長は『ベルツの日記』(岩波文庫)の一節を思い出しました。黒田清輝に対する木々さんの指摘と、有無通じるところがあるように感じられたからです。

アーウィン・フォン・ベルツはドイツの医師ですが、いわゆるお雇い外人として日本に招かれ、明治9年(1876)はじめて日本の地を踏みました。そして日本人に最新の西欧近代医学を伝え教え、やがて日本近代医学の父とたたえられるようになった我々の大恩人です。

帰国するときに持ち帰った日本美術ベルツ・コレクションがシュツットガルトのリンデン美術館に所蔵されています。絵画だけで2700点ほど、これに工芸作品が加わります。


0 件のコメント:

コメントを投稿

出光美術館(門司)「琳派の系譜」8

この二つの松は、『万葉集』『古今和歌集』の二集にたとえられ、松の葉の栄えは和歌の言の葉の栄えを意味し、つまりは天下泰平の象徴だというのである。 老人はなお松の徳をさまざまに物語り( クセ )、自分たちこそその松の精だと名を明かし、先に住吉へ行って待っていると言い残して小舟で 沖 ...