2022年7月9日土曜日

追悼 田沼武能先生4

 



僕は土門拳の『風貌』(講談社文庫)も書架から引っ張り出してきて、一緒にながめながら、このエッセーを書くことにしました。あちこちとページをめくっていると、田沼武能先生の写真には、対象が抜かりなく写し撮られているのに対し、土門拳の写真には土門拳が抜かりなく写っているように感じられました。

たとえば両者に共通して登場する梅原龍三郎、永井荷風、柳田國男、小林古径、川端康成を比べてみれば、一目瞭然、クダクダしい比較は必要ないでしょう。瀧澤修のようにチョット区別がつきにくい作品もあるのですが、大抵はすぐに分かります。

もちろんこれはすでに指摘されているところで、『時代を刻んだ貌』に序文を寄せた親友の大村彦次郎さんは、『江分利満氏の優雅な生活』で有名な作家・山口瞳の田沼先生に対する感想を書いています。


0 件のコメント:

コメントを投稿

出光美術館(門司)「琳派の系譜」10

   「月もろともに出潮の……」とある のが 興味深いですね。蓋のチョッと光を帯びたような茶色の地は、月夜のあえかな光と 溶け合っている ように感じられ る からです 。少なくとも、青天白日 というか 、まぶしいような陽光を想像する人はいない と思います 。   身の内側に描かれ...