2022年7月8日金曜日

追悼 田沼武能先生3

 

田沼先生がとらえたキーン先生のお姿は、目黒の能楽堂で狂言「千鳥」を演じる一瞬です。1956年に撮影されたものですから、34歳の若きキーン先生です。取材ノートによると、久しぶりに日本を訪れたキーン先生が、留学中に茂山千之丞師について学んだ狂言の成果を、日本の友人たちの前で披露したときの1枚で、「青い目の太郎冠者」の面目躍如たるものがあったそうです。

田沼先生は「これからの日本文化にとって最も大切な理解者となる人だろう」と結んでいます。田沼先生の慧眼にシャッポを脱ぎたい気持ちになりますが、あるいはその予想を超えていたかもしれません。キーン先生は、その後の日本文化を創り出したお一人になったのですから……。


0 件のコメント:

コメントを投稿

皇居三の丸尚蔵館「近世の御所を飾った品々」2

   この新館開館記念展の第 3 期に当たるのが、 3 月 12 日から始まった「近世の御所を飾った品々」です。カタログに載る「ごあいさつ」の一部を、最初に掲げたというわけです。去年から新生「皇居三の丸尚蔵館」をお訪ねしようと思いながら、ついに今日まできてしまいました。 実を...