早稲田大学を卒業しても、そこで群れるようなことを嫌う近藤さんは、「『國華』は東大の美術友好倶楽部だろう」というのが口癖でしたが、近藤さんに言われると、腹も立たないどころか、少なくとも昔はそうだったかもしれないなぁと妙に納得してしまうのでした。
それなのに、『國華清話会会報』に書いたマイエッセー「我が愛する唐詩人・李賀」を読んでくれたらしく、「へぇ 河野さんは李賀が好きなんだ」といわれたときは、中国専門家に読んでもらえたことがとてもうれしく感じられたものでした。
その後、民族芸術学会を退かせてもらったので、お会いする機会もなくなってしまいましたが、近藤さんは老いてますますの健筆振りを発揮、大学紀要に寄せた大論文の抜き刷りを毎年のように送ってくださるので、感嘆を久しゅうするとともに、みずからの怠惰に忸怩たるものがありました。
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