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2021年3月7日日曜日

山根登・生の証3

 

 鉛筆スケッチに淡彩を施した「長沙近郊」や、コンテだけで描いたモノクロームの「長沙付近」に、僕はすごく惹かれました。その静謐なる抒情、ちょっとメランコリーを帯びた深い画趣は、登さんにしか表現できなかったものではないでしょうか。それは何かとても懐かしい気持ちにもさせてくれるのです。僕は新田次郎の名著で知った「サウダーデ」というポルトガル語を思い出しながら、『真生』のページを繰っていました。

1995年秋、香港大学のリチャード・スタンリー・ベーカーさんから頼まれて、3ヶ月ほど香港大学で日本美術史を講じたことがありました。1年間、ベーカーさんに東大で講義をしてもらっていたので、まぁイクスチェンジ・プログラムみたいなものでした。香港の生活に少し慣れたころ、前から憧れていた馬王堆の遺跡と出土品が急に見たくなり、休日を利用して長沙まで出かけました。

 

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