我が国で「黒田清輝西洋婦人像腰巻事件」が起ったのとちょうど同じころ、イギリスでは「ロダン接吻腰巻事件」が勃発していたのです。もっとも後者の場合には、腰巻じゃなく、完全にすっぽりと覆うテントだったようですが……。本来の目論見は、この猥褻であり卑猥と感じられる美術を、布で隠してしまうという共通する行為を比較検討することにあったのですが、ブログとしてはあまりに長くなってしまいました。他日を期して、今回はこの辺で終りとすることにしましょう。
いうまでもありませんが、この「饒舌館長」でいう「ヌード」は、美術史における「ヌード」です。『新潮世界美術辞典』に「ヌード」を求めると、「裸体画、裸体像。裸の人間または人間態をした神や悪魔を表現した絵画や彫刻。また裸体そのもの、とくに裸婦をさす。身体の一部を衣服で覆ったものも含まれる」とあります。
しかし僕は、裸体画や裸体像に限定して使い、裸体そのものはなるべく「ヌード」といわない方がベターだと思います。有名なケネス・クラークの『ザ・ヌード 裸体芸術論』が、”nude”と”naked”を区別したように……。しかし厳密に分けることは、対象が対象だけに、ヤハリむずかしいかな(笑)
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