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2017年11月14日火曜日

静嘉堂文庫美術館「あこがれの明清絵画」5


02南宋・陸游「猫を贈られる」(一海知義編『陸游詩選』)
塩を贈ってその代わり 我が家に子ネコを迎えたよ
  書斎に万巻満ちる本 ネズミにやられぬようになる
  だが「悲しいなぁ!!」貧乏で その功績に報いえず
  寒中座る毛氈[もうせん]も 食事に添える魚[うお]もなし

03明・劉基「画猫に題す」(今村与志雄『猫談義 今と昔』)
  青い目のネコ だまってりゃ 魚ご飯がやってくる
  すわる階段のんびりと 舞ってる蝶々を見てるだけ
  吹く春風にゆらゆらと 揺れる花影[はなかげ]伝説の
  ウズラに化ける野ネズミを 捕えもせずに知らん顔
*中国では3月になると地中のモグラが鳥のウズラに変身すると考えられていたらしく、結句それを引っぱってきたものだという。

2017年11月13日月曜日

静嘉堂文庫美術館「あこがれの明清絵画」4





中国ネコ絵ベスト3

①   伝徽宗「猫図」(個人蔵)
②   伝毛益「蜀葵遊猫図」(大和文華館蔵)
③   沈南蘋「老圃秋容図」(静嘉堂文庫美術館蔵)

ネコ絵資料

01北宋・梅尭臣「猫を祭る」(『中国詩人選集』第二集3)
  「五白」というネコ飼ってから 本はネズミにかじられず
  だが今朝「五白」は死んじゃった ご飯と魚をそなえたよ
  水葬に付し心籠め 彼女の冥福祈ったよ
  かつてネズミをつかまえて 鳴きつつ庭をぐるぐると……
  ほかの奴らもおどかして 追っ払おうとしたんだろう
  オイラの舟に乗り込んで 来た時いらい夫婦のよう
  貴重な乾飯[かれいい]ネズ公の 残飯食わずにすんだのも
  彼女の働きあればこそ!! 鶏や豚にもまさりたり
  「馬やロバなら役に立つ ネコにゃ車は引けない」と……
  分かっちゃねーなと笑いつつ 哀悼の意を捧げよう



2017年11月12日日曜日

静嘉堂文庫美術館「あこがれの明清絵画」3


キーワード
 唐猫 弥生文化 養蚕 典籍文化 宋詩 梅尭臣 耄耋[ぼうてつ] 『日本霊異記』
 宇多・一条天皇 『源氏物語』若菜上 「信貴山縁起絵巻」 仏涅槃図 五山文学
 猫の草子 豊臣秀吉 南泉斬猫 狩野一渓『後素集』 ネコ庶民化 祇園南海
 浮世絵 見立て絵 俳諧 江戸川柳 夏目漱石 平岩米吉 岩合光昭

日本ネコ絵ベスト10
①   雪村周継「猫小禽図」(個人蔵)
②   狩野山雪「牡丹に猫図杉戸」(妙心寺天球院)
③   狩野探幽「佐久間将監像」(個人蔵)
④   懐月堂安度「美人愛猫図」(鎌倉国宝館・氏家コレクション)
⑤   円山応挙「睡猫図」(個人蔵)
⑥   長沢芦雪「薔薇に猫図襖絵」(無量寺)
⑦   渡辺崋山「猫図」(出光美術館蔵)
⑧   歌川国芳「ねこつるけん」(スプリングフィールド美術館蔵)
⑨   菱田春草「黒き猫」(永青文庫蔵)
⑩   竹内栖鳳「斑猫」(山種美術館蔵)

2017年11月11日土曜日

静嘉堂文庫美術館「あこがれの明清絵画」2


 静嘉堂文庫美術館「あこがれの明清絵画」おしゃべりトーク<ネコ好き館長による猫の絵画史>(11月4日)

 企画展ごとに1回館長講座をやってくれと、すでに頼まれています。つまり年間4回です。秋田県立近代美術館時代は、1年間に15回やっていたんですから、チョロイもんです。しかし「講座」や「講演」はやめてもらい、「おしゃべりトーク」とか「饒舌トーク」と銘打って、気楽にやらせてもらうことにしました。

僕の真面目な論文で日本絵画史を勉強したい方は、『琳派 響きあう美』か『國華』の拙文、あるいは現在準備中の『文人画 往還する美』をお読みくださいませ(!?) 

 今回与えられたお題は「ネコ好き館長による猫の絵画史」です!! 「おしゃべりトーク」とはいえ、誰ですか、こんなのを考え出した学芸員は?――と言いつつも、ネコ好き館長としては何となく心ウキウキ、準備にも熱が入ろうというものです。

書架から、平岩米吉の名著『猫の歴史と奇話』(築地書館 1992)以下、ネコ関係の数冊を引っ張り出してきて、配布資料を作りました。ちょっとおもしろい資料になったと思いますので、それを再録させていただくことにしましょう。もちろん、バージョンアップしてありますよ。すでにこの「饒舌館長」に紹介した資料もあるような気もしますが……

2017年11月10日金曜日

五島美術館「光彩の巧み」3


しかしその後、東京国立博物館の池田宏さんにお会いする機会があり、持論を開陳すると、「いや、河野さん、七宝を使った甲冑がありますよ。七宝は広い意味で陶磁ですよ」と教えてくれるではありませんか。「持論はついに証明されたのだ!!」と、こんなうれしいことはありませんでした。

 フィレンツェのシュティッベルト美術館は、とても充実した武具美術館です。ここで西洋の甲冑をたくさん見ましたが、僕にはとても美しいとは感じられませんでした。機能的には大変すぐれているに違いないと理解できましたが、美的じゃないんです。人を殺したり、殺されたりするのを防ぐ武具に美を求めるなんて、やはり僕は日本人なんだなぁとちょっとおかしくなりながら、ギャラリーを回った日のことが、懐かしく思い出されるのです。

その後、こんなに美しい日本の甲冑が、『國華』にまったく紹介されていないことに気づいて、これはマズイと思いました。いや、古くは論文まであったんです。川崎千虎の「本邦武装沿革考」は、創刊号に始まり、延々75回にわたる長連載、しかも「補綴」3回というオマケまでついてようやく終わるという大論文でした。

しかしその後は皆無だったんです。そこで手始めに、先の池田さんにお願いして、厳島神社所蔵の「小桜黄返威鎧」という絶品――もちろん国宝――を紹介してもらったのでした。

2017年11月9日木曜日

五島美術館「光彩の巧み」2


同様の装飾効果は、溶かした釉薬で文様を満たす技法の発見によってより自由な形で可能となり、西アジアやヨーロッパでは多彩な作品が生み出されました。やがて中国、朝鮮半島を経て日本へもたらされると、この技法はやはり極楽浄土の宝にちなんで「七宝」と呼ばれるようになりました。
西から東へ大陸をめぐり、日本に花開いた七宝かざりの旅路は、人々が求めた耀きと巧みの技で彩られています。

 ところで僕は、我が国のもっとも総合的な工芸美術として、甲冑を考えてきました。甲冑には、金工、漆工、染織工、木工、竹工と多くの工芸技術が総合的に使用されているからです。こんな美術品はほかにありません。しかし、陶磁だけは絶対用いられないものと思い込んでいました。すぐ割れてしまう陶磁は、武具である甲冑に不向きだからです。

つまり陶磁を欠いているというこの点が、甲冑こそ日本の総合工芸であるという持論の欠陥のように感じられて、どっかに陶磁を使った甲冑がないものかと、ないものねだりみたいな気持ちになる時もありました。

2017年11月8日水曜日

五島美術館「光彩の巧み」1


五島美術館「光彩の巧み――瑠璃・玻璃・七宝――」(12月3日まで)

 出品数はジャスト100点、はじめて見る総合的な七宝展です。僕が最初に七宝というアートに興味を持ったのは、名古屋大学時代、名古屋市博物館の委員として、とてもすぐれた大コレクションに触れたときでした。しかしそれは、万国博覧会などに出品された近代七宝ばかりでした。

今回、中国・戦国時代の「金銀玻璃象嵌大壷」(永青文庫蔵)というプロトタイプに始まる名品を系統的に見て、七宝の素晴らしさに改めて深く心を動かされました。副題に「瑠璃・玻璃・七宝」とありますが、この三者の関係を含めて、簡にして要をえたカタログの「ご挨拶」を掲げることにしましょう。

 琉璃も玻璃も、極楽浄土を荘厳する宝を示す言葉です。いずれも長い時間のなかで意味内容を変えつつも、貴石やガラスを示すために使われました。これらは奥深い光をたたえて器物をかざり、そこに神秘の力を与え、持つものに権威をもたらします。

江戸東京博物館「江戸博×出光コレクション初共演 浮世へのいざない」5

  「 差出し 」 とは、電気のない時代に用いた花道の俳優を照らすための照明用具です。 角形の燭台に長い柄をつけたもので、二人の後見が前後から差し出して照らしました。「面明 つらあか り」ともいい、現代でも古風な演出には使われます。かつて 何かで 見た記憶はありますが、以上は平凡...