本展のプロローグには「リアルな造形とはかけ離れており、世界的にも珍しい。その『ゆるさ』を象徴するのが東京国立博物館の代表的な所蔵品の一つである『埴輪 踊る人々』だ」とあります。そのとおり!! 現代の埴輪人気が「ゆるキャラ」ブームと密接な関係があるように、「リアルな造形」じゃ~ないんです。同じころの中国は北魏時代、その北魏仏が見せるリアリズムと比べると、とくに埴輪のゆるキャラ性(!?)が際立つことになります。
これこそ日本的美意識の原点なのではないでしょうか。岡倉天心は東京美術学校講義録『日本美術史』において、日本美術の特質を7つ挙げていますが、その一つは「仏教の哲理により唯心論に傾き、写生を離れて実物以外に美の存在を認む」というものでした。
さすが天心先生です。確かに埴輪は、「写生を離れた実物以外の美」を象徴しているといって過言ではありません。しかし天心先生、おかしいじゃ~ありませんか。「仏教の哲理により」とおっしゃいますが、埴輪は仏教が伝来するずっと前に生まれ、そして作られているんですよ!!
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