2024年12月20日金曜日

東京国立博物館「はにわ」10

本居宣長の基本的死後観である黄泉国よみのくに説は、たいへん有名である。すなわち「世の人は、貴きも賎しきも善も悪きもみな悉く死すれば必ずかの予美の国にゆかざることを得ず」と言う。このように、死ねば皆汚れた暗いイメージをもつ黄泉国へ行く他ないから、死ぬほど恐ろしいことはない、という主張である。……宣長は『古事記伝』の中で、死ねば皆御魂は黄泉国へ行くが、この世に残る御霊(分け霊みたま)もあると述べている。この世ですぐれた功業をなした人間の霊魂は神と同様に、この世にいつまでも残る。また、一般の人々の霊魂もほどほどに留まるという。……要点をまとめたい。①死後の霊魂は黄泉国へ行く。しかし霊魂の一部は、②この世に留まり現世の生活を見守り、この世の人間の幸福を助け、災いをなすものもある。③先祖の御魂祭りの意義を積極的に認めている。

 

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揖斐高『江戸漢詩の情景」4

六如「春寒」   花の便りが聞こえても まだ寒風が吹き止まず   老いた俺にはあったかい 炬燵 こたつ にまさるものはなし   遠くの空に揚がる凧 放つ唸 うな りを頬杖 ほおづえ を   つきつつ聞けば幼少の 楽しかった日 思い出す