2024年9月2日月曜日

大木康『山歌の研究』10

 

  『山歌』巻6の「詠物」に収められた山歌の大部分は、宴席における文人の遊びではなかったかと考えられるそうです。巻6の最初は「風」――3首のうちの一首を……。4句目は「知らぬ間に来て知らぬ間に 去っていくけど――でも好きよ」というのも悪くないかな。

  愛しい恋人できたけど ソイツはまるで風のよう

  東西南北 飛び回り 来たっていつも実じつがない

  春 三ヶ月 一回も 触れてはくれぬ柔肌に

  知らぬ間に来て知らぬ間に 去っていくのがいとおしい

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